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  • 7年前、単身ミャンマーへ渡り、以来現地に身を置き激動の時代を生き抜く。企業・政府・マスコミ等との長年に渡るビジネスを通して培ったスキルや現地・日本の人脈をフルに活かした調査・進出コンサルティングは在ミャンマー日本人の中でも随一である。 Since 2001/1/1
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ミャンマーを知る読みもの

文化

 伝統音楽の特徴と音階

Traditional Music
伝統音楽の音階

by ウー・ミンチー


    ミャンマーの音階は基本に理論づけられた一定のものを持っていない。

    最初に書いたとおり、複数の文化が入り混じっておりまた、楽器によって微妙な音階のずれはあるが、現在標準音階としてミャンマーの音楽家達が基礎音としているのが、「hne(ネエ=ミャンマーの楽器)」(オーボエ)と呼ばれるミャンマーの管楽器の7音である。

    7音の呼び方はインドのサンスクリット語で動物の名で呼ばれており、実際の音階は中国の5音音階が基礎となり、それにタイの標準7音階とミックスされミャンマー式音階ができたものと推測されている。

    西洋音階のキー、C=ド、D=レ、E=ミ、F=ファ、G=ソ、A=ラ、B=シ の対比として、ミャンマーでの竪琴を除く楽器での呼び方では「タパウ(C)」、「コォンネパウ(D)」、「チャウパウ(E1/4音下がる)」「ンガーパウ(F半音上がる)」、「レイパウ(G)」、「トンパウ(A)」、「ネッパウ(B1/4音下がる)」と呼ばれている。

    ミャンマーの音階はペンタトニック(5音音階)だがそこに3つの半音が含まれる。「チャウパウ」、「ガーパウ」、「ネッパウ」の音は半音である。「チャウパウ」はEよりも1/4音下がり、ガーパウはEより1/4音上がる。ニッパウはBよりも1/4音下がる。

ミャンマー音階

全音階 動物 竪琴以外の呼び方 竪琴での呼び方
C hr.png hr.png 孔雀 タパウ ドゥラカ
B hr.png
hr.png 象 ネッパウ ニンロン
A hr.png hr.png トンパウ チャウトエニュン
G hr.png hr.png カッコウ レイパウ アウピャン
hr.png ンガーパウ パレ
F hr.png
E hr.png
hr.png 山羊 チャウパウ ミンサイ
D hr.png hr.png 牡牛 コォンネパウ ピードーピャン
C hr.png hr.png 孔雀 タパウ ドゥラカ

© ウー・ミンチー



伝統音楽の特徴

      西洋音楽とは全く違い、ミャンマーの音楽はリズムとメロディーだけで、ハーモニーがないといわれている。ミャンマーの楽器はハーモニーを奏でるように作られていないので、楽器同士のコンビネーションは発達しなかった。また、強調するときはユニゾンで同じメロディーをなぞる。

      ミャンマー音楽のリズムは基本的にシィ(鉄製の小さなトライアングルのような音)とワー(竹製のカスタネットのような音)の楽器の組み合わせでできる以下の2拍子系しか存在しない。西洋音楽の3拍子系はミャンマー音楽に使われていない。

      ミャンマー音楽のリズムは基本的にシィ(鉄製の小さなトライアングルのような音)とワー(竹製のカスタネットのような音)の楽器の組み合わせでできる以下の2拍子系しか存在しない。3拍子系はミャンマー音楽に使われていない。

      Aは4/4拍子で「ナイーシィ」と呼ばれている。B、Cは2/4拍子でBは間隔が長く「ワラシィ」、Cは8/16拍子で間隔は短く「ワラッアミャー」と呼ばれている。Dは「ゾンシィ」と呼ばれワーとシィを同時にうつ。

特にリズムのアクセントはどこにつくかは決まっていない。

A
realplayer
シィ シィ ワー 空白
または
ワー シィ シィ 空白
B
realplayer
シィ ワー
または
ワー シィ
C
realplayer
シィ ワー シィ ワー
または
シィ ワー シィ ワー
D
realplayer
シィ ワー シィ ワー シィ ワー シィ ワー
または
ワー シィ ワー シィ ワー シィ ワー シィ


      *上記A-Dをクリックすると、Real Playerにより、実際のリズムが聞こえます。

      また、歌と伴奏という概念もない。それぞれが対等な立場である。歌手は演奏を注意深く聞きながら歌を合わせていき、演奏者は歌を注意深く聞きながら演奏を合わせていく。歌手と演奏者はその場の共同作業でより良い音楽を作り上げていく。

      ミャンマーの演奏者は演奏中には楽譜を使用しない。楽譜は音楽を単純にしてしまうためで、ミャンマーの演奏者は演奏しながら毎回アドリブでより良いバラエティーのある演奏を目指す。ミャンマーでは演奏者達は毎回各々の音楽能力をフルに使ってより良いものを生み出していかなければならない。

      ミャンマーの音楽には決まった形式はないという人もいる。ある意味ではこれは正しい意見と言える。ミャンマーの演奏者は演奏時毎に各々の楽器の特徴を生かして、音楽を他の演奏者や歌手とともに音楽を作りあげていくのである。

      ここまで読んで、もうお気づきの方もいるだろう。そう、ジャズに似ている。それも、モダンジャズ。ミャンマーの古典音楽を生で聞いていると、まるでモダンジャズのアドリブが目の前で展開されているような錯覚を覚える。

      ここまで西洋音楽との比較で論じてきたのでミャンマーの音楽の特殊性が目に付くが、世界へ目を向けると、事情はちょっと違ってくる。たとえば、世界の民族音楽の中ではハーモニーはそれほど普遍的なものではない。逆に、ミャンマーの音楽のほうが一般的で、西洋音楽のほうが特殊だといえる。そうすると、アフリカ音楽から生まれたジャズとミャンマーの音楽が似ているのも偶然ではないだろう。

© ウー・ミンチー