国旗:日本 国旗:ミャンマー「ヤンゴンナウ」は1999年創業の日系旅行会社「サネイトラベル」がお届けするミャンマー総合情報サイト

  • 7年前、単身ミャンマーへ渡り、以来現地に身を置き激動の時代を生き抜く。企業・政府・マスコミ等との長年に渡るビジネスを通して培ったスキルや現地・日本の人脈をフルに活かした調査・進出コンサルティングは在ミャンマー日本人の中でも随一である。 Since 2001/1/1
  • facebook
  • twitter

ミャンマーを知る読みもの

環状線各駅停車~サイカーの旅

Essay by Thein Lin

テインリンアウン のエッセイ
2 ザップエ 2003/4/16
1 環状線各駅停車~サイカーの旅 2004/4/11

環状線各駅停車~サイカーの旅~

by テインリンアウン


    環状線は何度か乗車したことがあります。正確な距離は知りませんが,約3時間をかけてのんびり走る列車。  車内はもちろん,車窓から見える風景をのんびり眺めながらいろいろな発見ができますよね。しかし,あのスピードでも  各駅の特徴らしきものはなかなか見つけにくい。一度,線路に沿う道を辿って(線路もいいけど),  それぞれの駅の周辺を見てみたいな・・。

    私は大阪から来ていますので,環状線と言えば大阪の環状線を思い出します。  それぞれの駅周辺にははっきりした個性があります。大阪市内だけとは言え,各駅の街並がそれぞれに大阪らしさを  醸し出しているのだろうな,と感じます。だからきっとヤンゴン環状線も,それぞれの駅周辺の街並を見ていけば,  トータルなヤンゴンらしさを感じられるのではないだろうか,という期待もありました。

train.jpg

    さて,「自転車で環状線の駅をまわりたいんだけど。」という提案に,まわりのミャンマーの人たちの第一声は 「できないよ!ダウンタウンとか,大きな道路は自転車が通れないからね。」確かにそうでした。

    「列車に乗ればいいんじゃないの?」とも言われましたが,それこそ大阪環状線のように数分置きに列車が やってくるわけではありません。途中下車をしながらの一周は考えられなかったので,〈サイカー〉で移動できる ところは利用して,無理なところは歩きでもいいかな・・。というわけで,自転車一周改め, サイカー一周(途中歩くかも)の旅へでかけました。

    スタートの駅は,私の家から一番近いレーダン駅です。そこから北へ向かって行こうと考えました。 環状線は左側通行なので,一応〈外回り線の向き〉ということになるでしょうか。まずは,運良く(悪く) 私につかまった最初のサイカーのお兄さんと値段交渉。「次のカマユ駅までいくら?」「遠いから300ksかな。」 走りながら「このサイカーは何処まで行けるの?」「インセインまで行けるよ。」「各駅のまわりの様子を少し 見ながら行きたいんだけど。」「いいよ!」「じゃあ,その次の駅まではいくら?」「200ksかな。」 という交渉を繰り返していると,向こうから「全部で1500ksでどう?」ときた! そりゃそうだわな, と思いながらもしつこく「わかった。1500は払いましょう。ちなみに聞かせてよ。ここから乗ったとして 次の駅までいくら?」と意地悪な質問。駅ごとに聞いていって,あとでどっちが得だったか計算してみよう, と思っているせこい私。(ちなみに損したからといって文句を言うつもりはありませんでしたので,念のため。 結果150ksの損。)そんな値段交渉も,後半はかなり面倒くさくなってきたのは言うまでもありませんが, 最初のお兄さんとのやりとりで大体の距離と値段の関係がわかったので,それを参考にサイカーを乗り換えながら 進んでいきました。サイカーはエリア限定でありことは聞いていましたが,今回お世話になった7人のサイカー運転手さんの おかげで,タウンシップによるエリア区分についてもよくわかりました。

    駅から駅までの間に関して,サイカーではまったく移動できないエリアが一つありました。それはミンガラドン地区です。 少しバスに乗ったものの,ひたすら歩きました。チャイッカレ駅に行きたくて道を尋ねたら「私も行くから一緒に行こう。」 という親切な人について行って到着したのはチャイッカレパゴダ・・。一番きつかったはミンガラドン駅からウェバーギー駅に 行くまででした。距離が遠くても大通りを歩けばよかった・・。環状線の内側をショートカットしようとして陥った 道なき灼熱の荒野。乾季のひび割れた大地。頭上には何機もの飛行機が大きな音を立てて通り過ぎていく。駅がそこに 見えているのに,行く手をはばむ幅広の水路。どうして線路を歩こうとしなかったのかと自責の念。あのとき,農作業している 方に会わなければ・・。そのあと,疲れ果てた

    私は,倒れるように新たなサイカーへ乗り込み,そのサイカーが行けるところまで行って1日目を終了。 そして数日後,半日をつかって残りの駅をまわり,再びレーダンに無事ゴールしたというわけです。

    アウンサンスタジアムから乗ったサイカーの値段は高かった。一駅区間400ks~500ks。 これも中心部であるがため仕方ないのか・・。環状線とピイ方面へ行く分岐点のダニンゴン駅,マンダレー・ モーラミャイン方面への分岐点マラゴン駅は,[駅の敷地が広く,列車を待つ人たちも多かった。ヤンゴン中央駅についで 大きいのはインセイン駅。しかし駅舎がとても美しいと思ったのはチ-ミンダイン駅。名前の通り,駅近くの店前では ゴルフボールをクラブで打って遊んでいる人がいるゴウックイン駅。それから・・(紙面の都合上省略させていただきます)。 ちなみに環状線の駅の数はいくつぐらいだと思いますか? 答えは38駅。シティーマップに載っていない駅も1つあ りました。

    マーケットが隣接する〈まさに駅前だね〉という駅もあれば,〈ここ駅だったの?〉と見過ごしてしまいそうな駅, 〈なんでこんな所に?〉と思ってしまう駅・・。けれど,その周りには人々が集まって生活する空間があり (当たり前だけど),期待通りにそれぞれの駅まわりの個性を感じることができたと思っています。

    先ほども書きましたように,ミンガラドン地区を除けばすべてサイ カーでまわれることになります。 ダウンタウンも大丈夫です。しかし,大きな道路は通りません。 幹線から1本外れた小道を通って行きます。

    いつも車で通る道がちらちら見えながら,くねくねと進んで行けるのです。サイカーが大丈夫なら自転車でまわることもできる!?  行ってみたい方いらっしゃいますか? およそ1日あれば充分回れるでしょう。 よろしかったら その通り道をお教えしましょう。ご一緒させていただいても結構ですよ。(そんな人おらんわ!と聞こえてきそう・・)

    『ヤンゴン環状線ガイド』を一緒に編集してくださる方の登場を密かに期待しながら,このへんで終わりにしたいと思います。

©テインリンアウン