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  • 7年前、単身ミャンマーへ渡り、以来現地に身を置き激動の時代を生き抜く。企業・政府・マスコミ等との長年に渡るビジネスを通して培ったスキルや現地・日本の人脈をフルに活かした調査・進出コンサルティングは在ミャンマー日本人の中でも随一である。 Since 2001/1/1
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ヤンゴンの異性感情について


Essay by Koto ことのエッセイ

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ヤンゴンの異性感情について

by こと


    ヤンゴンでの異性に対する姿勢というのは、相当保守的である。保守的と言えば日本の30年前くらいかなと考えるが、実際はそれ以上ではないかと思う。

    まず、女性は男性からプロポーズを受けて、相手が気に入ってもすぐにOKと言ってはいけない。すぐにOKと言うなんていうのは、相当腰の軽い女性と見られてしまうらしい。なんと、相手が気に入っても、最初は「すぐには返事はできない」と言ってじらす。かぐや姫が求婚者に無理難題を言って困らせる、あのたぐいである。少なくとも半年、通常1年から3年は待たせるとか。相手の誠意を試すんだそうである。結婚は一生のことだから、それくらい大事に考えるんだとか。離婚するくらいなら、最初から結婚しないという決意だそうだ。

    日本では、結婚というのはめでたいことだし、結婚する方も嬉しそうに「私結婚するのよ」と言うもんだが、ヤンゴンでは違うように見受けられる。この前結婚した女性は、結婚することを恥ずかしそうに言っていた。いったいなにが恥ずかしいのか、訊いても教えてくれなかったが。結婚すればセックスをすることを言っているのかと思ったが、まさかそんなことを恥ずかしがるとも最初は思えなかったが。

    ヤンゴンには結婚していない女性がたくさんいる。一生結婚せずに過ごす人たちも多い。「結婚してこそ一人前だ」という日本の観念は、少なくともヤンゴンでは通用していない。実際、一生結婚せずに親元で過ごし、親の老後の面倒を見るのが孝行娘と言うらしいから、結婚するなんて言うのは、日本の観念で言うように親孝行ではないらしい。

    さて、ミャンマーの仏教ではブッダが5戒というか、五つの戒めを与えている。生き物を殺さないこととか、淫らな性交をしないこととかあるが、その一つに「酔っぱらってはならない」というのがある。僕は、酔っぱらわない程度に飲むから、なにも悪いことをしているつもりはないのだが、人々の飲酒への毛嫌いには相当根深いものがある。要するに、酒を飲む人は即「素行の悪い人」である。日本で例えて言うなら、結婚前とか入社前に興信所に調べられて「酒を飲む」と分かったら、それだけで今まで進んでいた話は「なかったものにしてもらおう」と先方が言ってくるようなもの、まさかここまではいかないかもしれないが、「酒を飲む人間」というだけで、人からの評価ががくーんとさがってしまうのは事実らしい。

    で、居酒屋とかビヤホールはどういう状態になっているか? そもそも酒を飲むと言うことが罪悪視されているので、居酒屋と言うようなものはないが、ビヤホールというものは最近増えた。しかし、そこでおおらかにビールをあげる女性の姿はそこにはない。男性ばかりしかいないビヤホールというのは、異様な雰囲気である。(と、少なくとも僕には感じられる。) したがって、「一緒にビールを飲みに行こう」と誘ってついてくる女性はいない。どうも、ビヤホールへ出入りするなんていうのは、中学生がゲームセンターへ出入りするとか、(日本ではそういうことはそんなに奇異ではないから比喩として適当でないが)、そういうとんでもないことのようである。「そういうところへ出入りするところを近所の人に見られるだけで、お嫁に行けなくなる」といった、そういうことらしい。

    さて、酒の方に話が飛んでしまったが、書きたかったことは別にある。日本では、かっこいいボーイフレンドというのは、ブランドものの服を身につけるに等しい。と言っては言い過ぎか。まあ、そういう、オトコがいるのが当たり前。いないのは恥ずかしい、という感じが日本にはあるのではないかと思われる。したがって、ある程度の年齢になれば、日本では女同士で手をつなぐなんてことはしなくなる。ましてや、男同士で手をつないでいるなんて言うのは、気持ち悪がられる。ヤンゴンではもちろんそういうことはない。女同士で手をつなぐのは当たり前、男もつないでいるから、ぎょっとしてしまう。異性の友達も、相手が一人ならまあ周りから納得してもらえるが、複数の男友達がいるだけで「すごいあばずれ」と解釈されるらしい。仕事の都合で、日によって車で送ってもらう男性が違っているだけで、「あなたはたくさん男がいて、いったい誰が本命なのですか?」とお節介な近所のお姉さんの口が入るくらいだ。さてさて、ホントに保守的である。

(C) こと