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  • 7年前、単身ミャンマーへ渡り、以来現地に身を置き激動の時代を生き抜く。企業・政府・マスコミ等との長年に渡るビジネスを通して培ったスキルや現地・日本の人脈をフルに活かした調査・進出コンサルティングは在ミャンマー日本人の中でも随一である。 Since 2001/1/1
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仕事場から見たヤンゴン

Essay by Koto


仕事場から見たヤンゴン

by こと


    ヤンゴンで3年半ほど仕事をし、2000年2月に日本へ帰ってきた。 ヤンゴンでは仕事場と宿舎の往復なので、ほとんど街歩きはしていないし、 ミャンマー国内旅行もあまりしてない。で、ミャンマーの様子に詳しいわけでもないのだが、仕事の場での定点観測的なことを書いて みたいと思う。

    朝は挨拶がないのでびっくりしたりする。 日本では、朝、人と最初に出会ったら「おはようございます」と挨拶をしていた。 ヤンゴンでは朝出会っても挨拶の言葉は交わさない。ミャンマー人と一緒にホテルに泊まることがあって、朝、 相手がなにもいわないのでびっくりした。 「何か悪いことでも自分がして、睨まれたのか」と思ってしまう。実は、そんなことはない。だいたい、朝の挨拶は交わさないのだ。しかし、 全然挨拶はしないのかといえばそうでもない。視線を合わせてにこっと微笑む。これがヤンゴンでの挨拶みたいだ。丁寧な挨拶になると 「もう朝御飯は食べましたか」と訊いたりする。「そんなことあなたに 関係がない」と思っちゃいけない。(^-^;)

    仕事場で見る奇妙な光景と言えば。 書類にサインをもらいにミャンマー人従業員が日本人職員の机に来る。そんなとき、日本でなら、 どんなに相手が忙しかろうと(いつだって、職場では忙しいのが当たり前だから)「失礼しまーす」とか言って用事を言うが、 ヤンゴンの場合は、相手が忙しいようなら手が空くまでじっとそばに立って待っている。その相手が気付いて「ん、何か用か?」 と訊けば話し始める。それまで、じーっと立っている。忙しいのはお互い様であって、そんなことをしていたら自分の仕事が前に 進まないと思うのだが。官公庁ではそういう感じでやっているのかもしれないなあと思ったりする。

    ヤンゴン北部に、週末に外国語クラスを開いている僧院がある。 休憩時間には僧院の中庭のレペイエサイ、喫茶店でダベルのが生徒の 楽しみになっている。僕は、そこで週末にボランティアで日本語を教えていた。早めに行ってお茶を飲むのだが、自分のお茶代を払った ことがない。僕は割り勘にしたいと思うのだが、生徒が払ってしまう。どうも、生徒が先生に払わせるってのは「とんでもないこと」 らしいのだ。そこで、あえて逆らわず、すなおに従っている。

    アフターファイブに、3ヶ月ほど職場の従業員の希望者数人に日本語を教えた。 そうすると、彼らとは、「日本人職員とローカル従業員」 という関係以前に、「先生と生徒」の関係になってしまった。とにかく、ミャンマーでは「先生と生徒」の関係というのは、特別みたいだ。 「先生と生徒」と言うよりは、「師と子弟」の関係というのがふさわしい。「日本語を教えて習うのはあくまでアフターファイブのことであって、 勤務中は関係ない」と僕は思うのだが、勤務時間中も、僕の呼び名は「先生」になってしまった。

    俗人にとって、坊さんを選んでそのスポンサーになるのは功徳であり、 実行する人は楽しんでやっているように見える。 日本でタレントの ファンクラブに入るようなものか。ようするに、「師と子弟」の関係とはそういうものであるらしい。 つつましい仏教国で、恋愛をおおっぴらに 表現するのがはばかれるゆえ、そのエネルギーがこういうところに発散されているのではないかという気もする。

© こと